闇鍋雑記帳

書きたいこと書いてます

夜中に落ち込んだときに何をするかという話

 夜中に突然落ち込むことが多い。そしてその最悪の波を乗りこなそうとした私が毎回決まって取る行動が散歩である。黒い感情と一緒に夜の静かなご近所を練り歩く。決して徘徊ではなく、散歩です。

 

 生きていると、誰しも何かしらの出来事があったりなかったりで落ち込むときもあるだろう。基本的に楽観的(ガサツといったほうが正確)にわいわい生きている私だが、如何せん急に落ち込む時が多い。それはそれは急。人々が困っている場面で駆けつけてくれる正義のヒーローが「ちょ待てよ」と焦っちゃうぐらい急に落ち込む(あれ、Kタクさん?)。

 

 友人との楽しい休日を終えた直後だったり、はたまた一人で美味しいご飯を満喫した五分後だったり、とにかくそれは近寄る気配も見せずに突然やってくる。気がついたときには背後どころか真正面で「やっほー、元気してるー?」と満面の笑みでこちらに手をひらひら振っているのだ。擬人化してみるとちょっと可愛いかもなあと考えたりもするが、実際は全く可愛くない。「あれ、キミ写真と違わない?」というやつだ。

 

 これに出くわした以上、どうにかして目の前から消えてもらう必要がある。理由は単純だ。生きる過程において非常に重りになるからだ。人生という長い期間だけでなく、今日明日という短い単位で考えたとしても邪魔だ。此奴が一緒に居ると、それだけでただでさえ低い脳のスペックがさらに下がる。

 

 ではどうやって去ってもらうか。その方法として、最初に述べたように一緒に夜中のご近所を散歩するという手を使う。

 ただひたすら歩きまくるときもあれば、目に入るコンビニをはしごしつつ深夜の食べ歩きをするときもある。するとどうだろうか、気がつけばどうでも良くなっている。特に後者。気がつけばモヤモヤした例のやつのことよりもコンビニスイーツがうますぎる等という食欲全振キャラシートの人間になっている。何故なのか。私は考えてみました。

 

 考えた結果、よく分かりませんでした!(NAVERまとめ)

 

 元々、じっとしているよりうろちょろ動き回っている状態が自分の中で一番脳の容量整理が出来るタイプなのが関係しているのかもね。知らんけど。

 誰かに言葉としてアウトプットしてすっきりする人がいるように、足と胃を動かして昇華させることでスッキリする人間ということなのだろう。そりゃ、太るわけね。なるほどねえ。ああダイエットダイエット。

 

 野菜食べろ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

古本の匂いが好きですという話

 単刀直入に言いますと、私は古びた本の匂いが大好きだ(以下、古本と略します)。正確に言うと、あの黄ばんだカピカピの紙が醸し出す匂いが大好き。夏場のシャツの襟元の黄ばみは嫌いだし、少しケアを怠るとしゃしゃりだすお肌の乾燥は嫌いだが古本に関してはそれらオールオッケーです。許します。

 

 私が古本の匂いを好きだと初めて自覚したのはいつだったか。おそらく小学校6年生頃だろうか(もしかすると中学生頃だったかもしれないが、そんな年数なんて宇宙規模で見たら誤差だ誤差)。

 10代を過ぎた頃には、私の自己紹介欄には好きなものリストの中に読書がインしていた。むしろ読書ぐらいしか、胸を張って「好きです!」と言えるものがなかった。全然不幸じゃないですよ、全然。10分の限られた休み時間をフルに使って外でドッジボールに勤しむ同級生たちを羨ましいだなんてそんなこと思ってないんだから。思ってないですとも……。はは……。

 

 当時、私の中で一世を風靡していた児童文学作家がいた。それははやみねかおる氏である。はやみね先生の著書、名探偵夢水清志郎事件ノートシリーズがきっかけとなり、私は推理小説もといミステリーというジャンルの底なし沼に頭頂部から飛び込むことになった(おとなになった今もよく読み返します、みなさんもぜひ読んでみてね。)

 そこから派生し、私は学校の図書館でとある本を手に取る。江戸川乱歩先生の黄金仮面である。明智小五郎シリーズとして有名ですね。

 黄金仮面の他にも、少年探偵団シリーズ等と一緒に江戸川先生の本が並ぶ本棚はやけにホコリがかぶっていたのを覚えている。それぐらいに、普段児童たちが手をつけていないということなのだろう。当時の私は、ただ掃除の時間に無駄に避けられていたせいで埃被ってんだな程度にしか思っていなかったが(かくいう私は掃除の時間に手を抜きがちでした、班の皆さんその節はすみませんでした)。

 かなり昔に出版されたものだとひと目でわかる表紙とページの黄ばみぐあい。しかし、ミステリー沼に飛び込んで全身どろどろの私にはそんな黄ばみだの埃だの関係ない。さっそく黄金仮面を手に取りきちんと貸出手続きをし、そのまま図書館の畳コーナーでわくわく本を開く。

 

 まさにその瞬間だ。例の匂いがふわりと漂ってきた。黴臭いようで、それでいて少し甘みを含んでいる匂い。古本特有の時代を感じさせる匂いに。「馨しい」というべきか。それを全身で感じた私の脳みそがなにかに目覚めた。

 何じゃこの匂い、たまらんな……。私は本を読むためにそれを借りたのに、まるで本の匂いを嗅ぐために借りたみたいになっていた。犬もドン引きである。全国のわんわんおたち、かかってこい! これが人間だ!

 

 “古き良きあの日を思い出す”というコンセプトで香水出さないか? そこそこ流行りそうじゃん。主に私みたいな変態の間で。 

 

 ……兎にも角にも、これがきっかけとなり私は紙のにおいをいちいち嗅ぐ人間に成り果てた。今からその紙食べるんですか? と言われても不思議ではない。もちろん食べません。

 この世には花の匂いを染み込ませた便箋等も存在する。実際に、遠方に住む友人に手紙を書く際その類のものを使用したことがあるが、これもまたよい匂い。ただ、どうしても古本には敵わないのだ。私の中で、古本のにおいが最強すぎるのだ。

 

 求む、古本に勝る挑戦者。人生が続く限り待ってます。